河豚「ふぐ」、下関が有名ですが、ここ篠島のふぐも負けず劣らず美味です。地元(愛知県)民は地元が故に有名度が分かりませんが、聞く人によると、知る人ぞ知るって感じでマニアックな人ほど知っているようです。
篠島で食すふぐ、1万5,000円前後でフルコースをいただけます。「銀座で食べたら10万だ」なんて言う人もいます。
お値打ちで、しかも美味い。
篠島は漁師の町です。(島なので当然です、あはは、、、)伊良湖水道の激しい潮の流れに揉まれた天然のふぐは下関のふぐに負けず劣らずの美味で、島の漁師が経営する旅館ではその日に釣れたふぐをその日にさばいて出してくれます。
篠島にはそんな漁師が経営する料理旅館が多数あります。オヤジが漁師でおっ母さんが調理、そして子供も手伝う。なんてスタイルの旅館が最高にふぐが美味しい旅館です。
毎年、そんな料理旅館「たから舟」にお世話になってふぐをいただきます。今年もまた美味しいふぐをいただきましたので、ここに紹介します。
料理旅館「たから舟」
毎年冬になると楽しみにしているふぐ料理、毎年ふぐ料理でお世話になっているのが、愛知県の島、篠島にある「たから舟」です。
毎年、漁師のオヤジが経営する旅館でもある「たから舟」にお世話になっています。
ここ「たから舟」もまた、オヤジさんと、おっかさん(娘さん)とでやりくりしている地元に根差した民宿です。漁師民宿と銘打って、「オヤジが釣って、娘がさばく」がキャッチフレーズです。
今回も、ふぐを目的に宿泊しましたが、当然、ふぐもその日のうちにオヤジが釣ってきた「とらふぐ」を娘さんがさばいて提供してくれます。
他の魚もほぼすべて、オヤジが釣ってきた天然物ばかりです。
ただ一つ、マグロだけは、天然ですが釣ってきたものではないです。
宿泊スタイル
そんな宿「たから舟」に、毎年、白子がよく出る時期を狙ってふぐをいただきに行きます。わがままにも私は「1泊3食」でお願いしています。
午後3時ころ(時間がキッチリと決まっているわけではありません。そんなところも地元民宿のいいとろこです)にチェックインして、適当にお風呂(民宿の割りには大きなお風呂です)をいただいて、ひと眠りします。
午後6時ころから、お部屋に料理を運んでもらって、いわゆる「部屋食」です。
のんびり、ゆっくり食事を楽しんで、知らぬ間に寝てしまっています。(食事が終わる頃に、お布団敷いてくれます)
朝、これまた豪華な朝ごはんを、別の部屋(お布団は敷いたままにしてもらいます)でいただきます。
お部屋に戻って、朝寝坊です。
お昼頃、むっくり起き上がり、別部屋でゆっくりとお昼ご飯です。
喰っちゃ寝、喰っちゃ寝、の一泊二日三食昼寝付きの超豪華旅行を毎年楽しんでいます。
アクセス
篠島へのアクセスです。篠島は島です。あはは、、、、
橋はありません。なので船で渡る以外に方法はありません。その船ですが、①河和港 ②師崎港 ③伊良湖フェリーターミナル の3か所からのみです。いずれも名古屋鉄道が経営する高速船です。
名古屋方面からの方は、①河和港、もしくは②師崎港、からとなります。
私は、電車利用の際には①の河和港からの高速船を利用します。電車で行くのに便利です。ただ、篠島まで若干距離があります(30分弱かかります)ので、波が高い日は船酔いに注意です。
車利用の場合は、②の師崎港からの高速船を利用します。港直近に駐車場があり、とても便利です。河和港とさほど変わらない本数で高速船が出ているのと、篠島まで、わずかな時間(10分かかりません)で到着しますので、船酔いの心配がありません。
③の伊良湖フェリーターミナルからは利用したことがないのでわかりません。
いずれの港から高速船を利用するにしても、高速船に乗る前に、旅館に電話しておくと、港まで迎えに来てくれます。これも、地元に根差した旅館ならではのサービスですね。
ちなみに、自家用車とか、軽四とかで迎えに来てくれます。アットホームな感じです。
ふぐ
それでは、今回食したふぐ料理を紹介していきます。もちろん、篠島で釣った天然のとらふぐです。
今年も、例年どおり「白子」、ぜったい白子、白子たくさんって、事前にお願いしてあります。
てっぴサラダと鯛の塩焼き
まずは、サラダです。てっぴサラダと鯛の塩焼きの登場です。
てっぴサラダです。てっぴとはふぐの皮です。さっと湯通しして、薬味をそえて。
さすが、今朝とれたての天然物は皮からして違うと、まずは驚きです。
サラダと一緒に鯛の塩焼きです。30cm弱の2年から3年もののちょうど食べごろの天然真鯛です。
絶句の美味さです。塩加減、焼き加減も絶妙で、レモンはかけないほうがいいです。
マタカの浮袋 味付け
これはおまけの品です。
マタカの浮袋をおっかさん自慢の味付けでこさえたものです。めっちゃ美味い。なかなか食べられない代物ですよね。
どうやって作ったのかは、知りません。すいません。
「マタカ」と言うのは、スズキの幼魚です。成長すると名前が変わる出世魚ですね。地方によって幼魚の呼び名は違います。伊勢湾では50センチくらいまでを「セイゴ」、80センチくらいまでを「マタカ」、それ以上を「スズキ」と呼んでいます。
マタカは、春先になると伊勢湾に入ってくる「小女子」(こうなご)という小さな魚を食すため、それを追って湾内に入ってきます。そこを狙って「手繰り釣り」という漁法で小女子を餌にして、ルアーのように手繰って釣ります。
ルアーで釣るスズキは「シーバス」と言われているのは皆さんもよく知っていますよね。このスズキは、釣れる場所(水の綺麗さ)で味が大きく変わる魚です。
伊勢湾の最も外海に近い、綺麗な水流の中で釣れたマタカは、今は少し季節が違いますが、それでも、内臓まで美味しくいただけました。おっさんは、魚釣りも大好きなので、ちょっとうんちくが過ぎてすいませんでした。
白子
ふぐといえば、てっさ(お刺身)と白子です。
白子をかるく炙ったものです。
何もつけずに、このままつるんと行きます。
外側は香ばしくカリっと、中はとろーりクリーミーな味でまさに美味。
これで、1匹の半部と思います。
1匹の雄に一対しかありませんので、、、
「白子(しらこ)」とは、魚類の精巣のことです。オスにしかありません、、、あたりまえです、、、
アンコウの白子なんかも有名ですよね。
白子はオス1匹から一対しかとれません。高級魚であるとらふぐの白子は「海のダイヤモンド」とも言われ、時に、とらふぐ1匹の値段より高価なこともあるようです。
産卵期前である1月〜3月頃に大きくなり栄養も増えるので、この時期の白子がクリーミーで濃厚となり美味となります。おっかさんが説明してくれました。食べすぎはよくないそうです。
今回は、この白子をたくさん出してほしいとリクエストしました。おっかさんの答えは、「いいのがあったらだよーー、朝にならんとわからんよーー」でした。
焼き牡蠣
もちろん、ふぐもその日に獲れたふぐを出してくれますが、それ以外のお魚も、その日に獲れたものを出してくれます。海況等で獲物がかわるので、行く度に、出てくるものが変わります。
牡蠣がでたのは初めてです。焼き牡蠣です。
この地方、牡蠣といえば三重県的矢、的矢牡蠣といえば、佐藤養殖場ですが、佐藤養殖場の牡蠣も絶品です。
また、レポートしたいと思います。
牡蠣は、オヤジが市場で仕入れてきたものと思います。オヤジの目利きで、相当美味です。
焼き牡蠣で有名な三重県の浦村と遜色なく美味しかったです。
てっさ
いよいよメインのてっさです。お刺身ですね。
これで2人前です。醤油はお店によってちょっとずつ味が違います。オリジナルです。
写真では分かりにくいですが、それほど薄くありません。
最高の一品です。至極の美味さ。語り尽くせません。
お箸でずずーーーって何枚も取って食べる姿がよく紹介されていますが、その食べ方は間違いです。
一枚一枚、丁寧に味わって食べるのが正解です。
ふぐをさばくには免許が要ります。免許取得した熟練の料理人(たから舟では、おっかさんが免許を持ってさばいてくれています。)が丹精込めて、細心の注意を払ってさばいてくれたふぐを、何枚もまとめて食すとは、失礼千万です。
書きました通り、それほど薄くはさばいてないので、まとめて食べたりしたら、口の中でモグモグとなってしまって、味わえません。一枚ずつ、丁寧に、ときに薬味を一緒に味わいましょう。
お刺身
お刺し身も、その日に獲れた魚の中からおやじさんが選択して出してくれます。今日は、真鯛のお刺し身とマタカのお刺し身です。
この時点で相当お腹一杯です。まだまだ出ますのでお刺し身はこのくらいでちょうどいいです。
お刺し身も当然、今朝獲れた天然物です。
鯛のお刺し身、よーーく見ると、黒い線みたいなのが見えるでしょうか?
一つの判断基準として、この黒い線が、養殖物にはたくさんあります。天然物は、このように黒い線がほとんどありません。
黒い線がないからと言って、天然物とは限りませんが、黒い線が沢山ある物は確実に養殖物です。
ちなみに、去年のお刺し身は鯛とイナダでした。イナダというのは、ハマチの幼魚です。この地方では、イナダ ハマチ ブリ ですね。
伊勢湾ではブリまで成長したものはなかなか獲れません。
もう、ここまでで、けっこうお腹一杯ですが、次はてっちり、ようするにふぐ鍋です。
白子付きで、白子は軽く湯通ししていただきます。
てっちり
「てっちり」とは、ふぐ鍋のことです。関西では通用しますが、関東では、、、、
どうして、てっちりというかは、諸説あるようで、みなさんも調べてみてください。
今回は、白子をたくさんとお願いしてありましたので、白子付きです。うれしくて、写真撮る前に白子を1つ食べてしまいました。
白子は、お鍋で軽く湯通しして、こんな感じで食べます。
白子一つ食べた後のてっちりです。お皿の手前の方に乗っている小鉢の中が白子です。
お鍋の具です。
わかりにくいので、昨年の白子を掲載します。こんな感じです。毎年白子たくさんお願いしていますが、獲れない時もあるので、出たらラッキーって感じです。
てっちりも、ふぐ料理では欠かせない一品ですね。ほんと美味しいです。白身魚を鍋に入れることはみな様のご家庭でもよくやるのではないでしょうか。ふぐとなると、これがまた格別です。
焼きふぐ
刺し身よし、お鍋よし、湯通しよし、なんでも「よし」のふぐです。次は焼きふぐです。焼いてよし。
骨までしゃぶりつきです。何もつけずに、このまましゃぶりつきます。
薄味ですが、ふぐ本来の味をしっかり残して、絶妙に焼きあがっています。
ここまでくると、もう言葉がありません。まだ、出てきます。
唐揚げ
これも定番ですね。ふぐのコースには付きものです。
レモンはかけません。もう、言葉ありません。同じ表現しかできませんが、美味い!
お寿司
お寿司もまた、いいですね。お寿司にも合います。鮮度がいいと、全てに合います。
そして、全て美味い!
雑炊
いよいよ、締めとなります。ふぐ雑炊です。
もう、お腹一杯なのに、食べられてしまいます。
てっちりの残りで雑炊です。ふぐの出汁?が良く、ただの卵とじのようですが、絶品です。
いつも同じ表現ですいません。
以上が、ふぐのコースです。もう、お腹一杯で、食べ終わったときにはホロ良く酔っぱらって、あとは寝るだけの極上の気分でした。
写真の「てっさ」「てっちり」「白子の焼き」は2人前です。他は1人前の写真です。
部屋食ですので、仲間とお酒飲みながら、のんびりできます。ふぐのひれ酒なんかを一緒に飲めば、もう最高の極楽です。日本人で良かったと思う瞬間ですね。
食べ終わったころに、おっかさんが、部屋に布団を敷いてくれます。布団に入れば、そのままぐっすりでした。布団を敷くときに、子供さん(小学生の女の子)がお手伝いしていました。かわいいです。都会では見られない光景でした。
朝ごはん
三食昼寝付きの超豪華旅行です。二食目の朝ごはんです。
朝ごはんです。朝からこんなに食えません。でも食べちゃいました。
しらす丼です。しらすも篠島の特産です。この時期は特に美味しい。
天日で干したものです。お昼ご飯には生シラスが出ました。
朝ごはんはお隣の部屋でいただきます。泊っているお部屋のお布団は敷いたままにしてもらい、朝ごはんが済んだら、また寝ます。しあわせーーーー
昼ごはん
昼寝付きの旅行です。朝ごはんが終わったら、お昼寝して、起きたら、お昼ご飯です。朝ごはん食べたのと同じお隣の部屋でいただきました。
メインは生しらす丼です。マグロのお刺し身とセットになっています。マグロはさすがに獲れたものではないですが、オヤジさんが厳選したものです。
生シラスは篠島の名物です。言うまでもなく抜群に美味い!
アジの塩焼きはもちろん、天然のアジです。
シラス丼のアップです。混ぜ混ぜして食べます。
お昼ご飯が終われば、もうお部屋を出なければなりません。とっても寂しいですが、ほんと、三食昼寝付きでしかも部屋食の超豪華旅行でした。
まとめ
篠島は、冬の味覚「ふぐ」が有名な島ですが、ほかにも、シラス、ワカメ、ハマチ、鯛、鯵、等々、有名な魚介は山ほどあります。
夏になると、鱧(はも)が有名で、わたしも夏場には鱧料理をいただきに行きます。
たから舟さんは、施設は古いですが清掃も万全で、いい雰囲気です。田舎の漁師旅館ですが、おかみさん(娘さん)は気さくで、都会の高級ホテルにも負けないホスピタリティを兼ね備えています。
毎年お世話になっている「たから舟」さん、今年は1階を少し改装していて、綺麗になっていました。
一泊二日三食昼寝付きで部屋食、ふぐのフルコースと超豪華な旅行、確かに、東京では相当な値段になりそうですが、ここ篠島では、一人当たり、2万円ちょっとで楽しめました。ほんとお値打ちですね。
3年くらい前にお母様が亡くなられたのですが、そのお母様の跡を見事に引き継がれて、何も変わらない旅館でいてくれています。
お母様のころ、一般財団法人 都市農山漁村交流活性化機構が執り行っていた、「農林業家民宿おかあさん宿100選」に選ばれた由緒ある旅館です。
みなさんもぜひ、冬には、たから舟さんでふぐを、夏もたから舟さんで鱧を食してみてください。
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